那須塩原に暮らす人

夢を実現できるまち。「なつおとめ」に挑戦。菊池太輔さん

プロフィール 那須塩原市出身。工業系の大学を卒業後、埼玉の車関係の会社に勤務。様々なタイミングが重なり、実家のいちご農家にUターン。「とちおとめ」の他に、「なつおとめ」の栽培に挑戦。那須塩原市4Hクラブ(若手農業者組織)の部長を務めている。

 

いちごの栽培周期は15ヶ月〜16ヶ月。
育苗が一番気を使います。

いちごを作りですが、まず苗を作ります。たとえば冬のいちごである「とちおとめ」ですと、苗を作るのは3月で。3月から6月は人間でいうと幼稚園みたいな期間で親苗と一緒に育苗します。7月からは人間でいうと小学生みたいな時期で、親苗からは切り離して育てるんですが、まだまだひとりでは生きていけない時期になります。9月になると定植と言って、みなさんがよくいちご狩りなどで目にするかたちになります。そしてそこから2ヶ月間、花をつくように手をかけてながら育てて11月から収穫をします。11月から5月までが収穫時期できるのですが、3月からは次の苗を作る作業になるので、いちご作りは15ヶ月から16ヶ月くらい仕事があります。

ずっと仕事が続くように見えますが、休める時期もあるので、趣味のゴルフをしたり、イベントに出店をしたり、様々な勉強をしたりする時間も、ある程度計画的に取ることができます。

一番神経を使うのは育苗のときです。やっぱり苗ができないと収穫ができないので、3月から6月の親苗と一緒の時期と、7月から8月の親から切り離した時期は精神的に気を使います。体力的には収穫中と準備・片付けの時期ですね。

片付けは7月と8月なので、真夏の30度を超えるような炎天下の中、ハウスでの作業はとても大変です。

 

那須塩原市に戻ったのは
幾つかのタイミングが重なったから。
いつかは戻ろうと思ってました。

大学を卒業してすぐに埼玉県の会社に就職をしました。自動車関係の仕事で、設計、開発、品質管理など、主にデスクワークの仕事を5年間やってました。もともと大学も理系で機械系を専攻していたこともあり、好きな車を仕事にしていました。

妻とは同じ会社で知り合いました。妻は埼玉出身で、農家の長男であることは伝えてあり、いつかは戻るということも理解してもらえていたと思います。

戻ってきた理由の一つは、「なつおとめ」が開発されたことです。冬のいちごだけを作っている農家さんはたくさんいらっしゃるのですが、夏にいちごがないので、需要はたくさんあるだろうって以前から思っていたんです。それが震災前だったかな、「なつおとめ」が開発されて、父が作ってみようかと思っているという話を聞いて、それだったらやりがいがる、自分でもやってみたいと思ったんです。

また、震災の時に実家と3日間くらい連絡がとれなくて、長男としてこのままでいいのかなとも思ったし、ちょうど結婚もそのころで、このまま埼玉で子育てをしていくのって大変だなと思ったんです。住んでいたところでは、幼稚園や保育園に入れるのも大変で抽選券をもらうのにも24時間並ばなくちゃならなかったり、私としては一生そこで暮らすんだったら、「なつおとめ」という面白い事業もできるし、いろいろなタイミングが重なって戻ってくる決心をしたんです。

 

外にでるだけでリフレッシュ。
安全安心な自分で作ったお野菜やお米。これが贅沢。
時間を見つけて趣味のゴルフもできちゃいます。

時間の使い方が違うといったらいいでしょうか。確かに、東京や埼玉にいるとモノや情報が豊富なんですね。でもそれを手に入れるのには渋滞にあったり電車が混んでいたりで、どうしても時間がかかってしまうんです。そういう点で那須塩原は渋滞に巻き込まれることもなく、便利に生活をしています。

また、とても自然が身近にあるので、仕事で行き詰ったときでも、外に出て風景を眺めるだけでリフレッシュできます。昔から好きな星空も、このあたりはたくさん住宅があるわけではないので、流星群も本当に星が空から降ってくるよう見えて、埼玉からきた妻も星がとても綺麗だと言いっています。

那須塩原市は東京からも近いし、土地もたくさんあるし、平地から山間まであるのでとてもいいところです。今、若手の農業ってブームで、都会から帰って来て新規参入もたくさんいらっしゃるし、都会に疲れた人や自分で美味しい野菜を作って食べたいという人にも農業はオススメだと思っています。

もちろん、サラリーマンのようなお給料は望めないかもしれませんが、美味しいお野菜を食べて美味しい空気があって、それを換算したら結構アリなのかなぁと思います。

趣味のゴルフは本格的には20歳くらいから。近くにコースもあるので、できるだけコースに出られるようにしています。

このあたりのコースは自然も多く、午前中だけとか午後だけとかだとリーズナブルだし、スコアというより気晴らしにも運動にもなります。

結構、大宮ナンバーとか練馬ナンバー、品川ナンバーなど都内のナンバーの車も駐車場には停まっていますよ。

 

夢が実現できる可能性があるまち。
そして、地域から応援されているという実感があります。

那須塩原市は、夢が実現できる可能性があるまちだと思います。新幹線で東京から70分、国道4号線、東北道のインターが2つもあることから、交通の便はよいです。また観光地「那須」の玄関口でもあり、起業するにも好立地だと思います。

また自然が多く、四季をより体感しやすい環境にあると思います。

「なつおとめ」の栽培に取り組むと決めた時のこと。

市役所も「なつおとめ」栽培への理解をしてくださり、販売などのPRの支援もしてくださいました。とても感謝しています。

また、栽培が安定しない初期の頃、地元の洋菓子店の方々が「なつおとめ」を使ってくださったんです。新しい品種の「なつおとめ」を生産者だけでなく、地元が一丸となって盛り上げていると実感しています。応援されているんだなぁと感じています。

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