那須塩原に暮らす人

暮らしが中心にあるまち。株式会社庫や 山谷久さん。

プロフィール 新潟県出身。自分たちらしい暮らしをするために、妻と共に移住先を探す。那須塩原の自然と人に魅力を感じ、東京より移住。東京への新幹線通勤を経て、現在は市内の企業(株式会社庫や)に勤務。

 

毎日の暮らしを中心に据え
自分たちらしい
豊かな暮らしができる場所

那須塩原に移住する前は、東京に住んでいました。東京での生活は刺激があり楽しく過ごしていましたが、段々と違和感を覚えるようになりました。日々忙しく時間が流れていく中で、世の中にあふれる情報は、少ない余暇の時間をいかに有意義に過ごすか、特別な時間にするか、ということを求めている様に感じました。私たちは、余暇の時間を特別な時間にするのではなく、日々を豊かに過ごすことで、自分たちの暮らしをより良いものに出来ないか、ということを考え始めました。

また、子どもが生まれたことも大きな要因のひとつです。家族との生活が暮らしの中心になるにつれて、東京には、いまの自分たちにとって不必要なものが多いのではないかと感じるようになりました。

 

移住先を探すにあたって妻と話をする中で、ひとつイメージとして持っていたのは、フィンランドの景色です。三年半ほど前に妻と共にフィンランドを訪れ、森の中で、コテージを借りて数日過ごしました。そこでは自然と人が別々ではなく、共にある、ということを感じました。都会にいると、なかなか自然は身近にはなく、それと触れ合うためには、時間をつくって遠くまで行かなければいけません。そうではなく、自分たちの日々の生活の中に、常に自然との関わりがあるということ、季節の移ろいを感じること、そういった暮らしをつくりたいと思いました。フィンランドで感じた気持ちが、那須塩原ならまた感じられるかもしれないと思い、移住をしました。

 

人と自然がともにあるまち
新幹線で通勤できることも
移住への後押しに

移住を考え始めてから、松本や仙台、札幌や旭川、東京近辺では鎌倉など、自分たちの気になるまちをいくつか訪れました。どれもとても素敵なまちでしたが、どこか自分たちの求める姿とは違う様に感じました。最終的に那須を訪れた際に、人と自然との距離感の近さや、住んでいる人たちが抱いている土地への愛着を感じ、ここならばと思い、移住先を決めました。

 

ただ、移住先として那須に魅力を感じましたが、実際にどのように暮らしていけるかは未知数です。仕事を含めたすべてを一度に変えることには不安があります。そんな中で、那須の立地条件も現実的な課題を解決する上で重要な点でした。那須塩原駅から東京までは新幹線で一時間ちょっとですから、仕事は東京のまま、暮らす拠点だけを先に変えるということが出来ました。

 

新幹線通勤は都内の電車通勤とは違い、自分の席が確保出来ますので、周囲を気にせず読書や仕事をすることが出来ます。那須塩原駅から東京までは約70分ですが、時間も長すぎもせず、私の場合はあまり負担にはならず、有意義に過ごすことが出来ました。

 

新幹線通勤の金銭的な負担については、家賃と合わせて考えました。通勤費の内、新幹線の特急券代は自己負担だったのでその分の支出はありましたが、一方、東京と比べると家賃はおよそ半分程度ですので、合わせて考えると経済的な負担はあまり変わりません。また、那須塩原市から新幹線定期券購入補助もあります。居住環境については東京で借りていた部屋の倍の広さになりましたし、窓からは山や林が見え、自然を近くに感じられます。

 

仕事は変えずに
まずは住まいだけを移し
段階的に移住を

仕事を含め、すべてを一度に変えるということも、もちろん一つのやり方ですが、私は仕事は変えず、まずは住まいだけを変えることにしました。ですので、最初は移住ではなく、引越しという軽い気持ちで那須へ来ました。もし、自分たちの生活に合わなければ、また東京に戻れば良いと考えていました。あまり深く考えてしまうと悩んでしまい、答えが出ないと思います。まずは引越しをしてみて、通ってみて、試してみるのが良いのではないかと思います。

 

引越しをしてしばらくしてから、たまたま那須に魅力的な会社があるということを知り、まずはお話だけでも伺ってみよう、と思い面接をお願いしました。そこでご縁を頂いて、仕事も変えることにしました。ご縁はどこにあるか分かりません。いろんな人と話をすることで、思わぬご縁があると思います。最初から仕事も変えるのではなく、少しずつ地域に馴染み、自分を活かせる場所を探すことが良い結果をもたらすと思います。

 

「同じまちに住む人同士」という感覚で
移住者に対してもオープン
自分の可能性を探っていく

引越しをしてから、妻と子どもと一緒に那須のいろいろなお店に行って、東京から引っ越してきました、とご挨拶をさせてもらいました。那須は移住されてきた方が多いからか、移住者に対してとても優しく、オープンな雰囲気があります。都会でお店の人に自己紹介することはあまりないかもしれないですが、そういったことをしても不自然ではない雰囲気があります。もちろんはじめはお店の方とお客という関係ですが、何度か通う内に、同じまちに住んでいる人同士としてお話をしてくれる様な気がします。そこから、こういう人も気が合うかもね、と紹介をしてもらい、段々と人の繋がりが広がっていきました。

そうやって繋がっていく中で、自分で何かやってみたら、とか、将来何をするの、と聞いてくれて、後押しをしてくれる人と多く出会いました。保守的ではなく、いろいろな可能性に対してオープンな方が多く、価値観の多様性が受け入れられるまちだと思います。そういった雰囲気のおかげで、自由に自分の発想を広げられる気がします。那須塩原は、自分の可能性を探ることのできるまちだと思います。

 

日々の生活を大切にしていきたいと思い移住し、結果としていい形に変わってきていると思います。何かに流されないで自分の暮らしを考えられ、自分らしい暮らしをつくることができるまちです。

 

※愛用している名刺入れは、黒磯にある革製品のお店「NordFeld」さんのもの。

 

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